![]() | ![]() |
初代ビッグ・バンの意匠を蘇らせ、サイズダウンも果たしたシリーズ初のブレスレットモデル。
ビッグ・バンは言わずとしれたウブロのフラッグシップであり、15年前に初登場してブランド再興の中心となった時計だ。ウブロ HUBLOT 時計その後、自社ムーブメント・ウニコを搭載したり、サイズを大型化(メインは45mm)しながら新たな独自素材とラバーとを組み合わせてケースに採用したりしながら自社のスピリット『アート・オブ・フュージョン』を具現化してきた。ひと目でウブロと分かる見た目や、当時腕時計にあまり採用されていなかったラバーストラップがウケて、この15年間ほぼ成功を収め続けてきたこの時計が今回、大幅に舵を切った。
このビッグ・バン インテグラルは、本誌でも既報のとおり、ビッグ・バンに初めて一体型ブレスレットを採用したモデルである。より一般的で、現在で大きな需要があるステンレスタイプのブレスレットではなく、ゴールド、チタン、そしてこのブラックセラミックで発表された。本機のみ500本の限定生産だが、このモデルに感動した僕が、あえて手にできる人の少ない時計のレビューをしてみたいと思う。
ひとつずつのリンクが細かく、着け心地抜群のブレスレットが光るインテグラル。サテンとポリッシュの仕上げ分けも見事である。
ウブロ ビッグ・バン ウニコ インテグラル ブラックセラミックの文字盤
ウブロ ビッグ・バン ウニコ インテグラル ブラックセラミックのケースバック
ウブロのヘリテージオマージュは"復刻"ではない
昨今、時計業界には復刻ブームが吹き荒れているのはHODINKEE読者であればご承知のとおりだが、一瞬、ウブロにもそれが波及したかと思わされた。42mmにダウンサイジングされたケース、縦長の角型プッシャー、バーインデックスなど2005年当時の意匠が満載されているからだ。しかしながら、決定的に異なるポイントがケース自体で、元々サンドイッチ構造を用いて金属やその他の素材とコンポジットレジンを積層する方法がとられていた。本稿下部のサイドビューを見ていただくと分かるように、本機ではセラミックのみでケースが構成され、ベゼル下部にのみレジンが配されている。"異なる素材の融合"に情熱を注いできたウブロにとっては、これはある意味苦渋の判断だったかもしれない。サンドイッチケースで、時計に立体感という新たな価値基準をもたらした同社が、むしろそれと逆のプロダクトを世に出したのだから。つまり、デザインオマージュはしているものの、本機は復刻ではなくウブロの完全に新しい時計なのである。